こんにちは。表参道・青山にある歯科石上医院です。
最近行なった虫歯治療をご紹介させていただきます。

包括的な診査診断の後、症状のある左上7番の虫歯治療から行いました。以前装着したゴールドインレーに適合不良が認められ、2次カリエスに罹患していました。
ラバーダム防湿下にてインレーの除去と感染歯質をとりのぞきました。当院では虫歯を取り除くときはラバーダム防湿下にて処置を行なっております。なるべく無菌的に処置を進めたいからです。せっかく感染部分を取り除いても唾液や血液で汚染される可能性があります。また、もし処置中に神経が露出(露髄)してしまった場合でも、速やかに対応できます。

インレーの下には感染歯質が認められ、遠心部分には歯の亀裂(クラック)が認められました!? 大部削られて、大きなインレーが入っていたため、くさび様効果などでクラックが入ったと推測されます。Plotino 2008の根管治療歯を想定した研究では、歯の辺縁(マージナルリッジ)がなくなると、例えば、近心・咬合・遠心(MOD)窩洞形成時は、相対的な剛性が63%低下し、辺縁隆線を1つ除去することは歯の剛性を46%低下させる。と報告があります。歯の強度はマージナルリッジがキーです!実は、クラックがある歯に対しての確かな治療方法はまだ確立されておりませんが、大きく2つのポイントがあります。一つ目は、レジン充填を利用して補修することです。つまり、接着を期待してクラックがさらに進まない様に考慮します。また、細菌の侵入を防ぐことも期待できます。二つ目は、修復物で咬頭を被覆し、くさび様効果が出ない様に歯を補強することです。このとき重要なことは、修復物はセラミックを選択することです。ジルコニアではなく、二ケイ酸リチウムで構成されたセラミックの方がいいでしょう。商品名で言うと、emaxなどがこれに当たります。これは、レジンセメントと相性がとてもいいからです。強固な接着が期待できます。したがって、外側からも内側からもレジンでしっかり接着しセラミックで修復することにより、残った歯質と一体となり、さらなるクラックの進行を防げるわけです。まぁ正しく言うと、それを期待しているわけです。

ラバーダム防湿下にて虫歯を取り除いた後、レジンで失った歯質を補填して細菌が再び入らない様にシーリングします。そして、セラミックが入る様に形態を整えます。マイクロスコープを使いながら、境界(マージン)部分がぴったり合う様に丁寧に処置を進めます。大切なことはあまり歯を削りすぎないこと。セラミックの厚さはさほどいりません。0.8-1.0 mmくらいあれば大丈夫です。実は、レジンセメントでしっかり接着させると薄くてもセラミックの強度があがるんです。レジンセメントの重合収縮で、セラミックと歯が一体となるからです。一方で、薄く製作する他のメリットとして、最も硬い光重合型のセメントを使用できることもあります。
今回は咬合面で1.0 mmのみの切削になりました。


今回は型取り(印象)の前に、もうワンステップ踏みました。エラスチック(写真の青いゴム)を使って遠心に0.5-0.8 mmくらい動かしました。手前の歯に近接していたからです。印象が難しくなり、理想的な形態の回復も難しくなります。1週間くらいで動き、写真の様にスペースができました。いつでも、私は一つ一つの歯に対して全精力を注ぎ込んで治療にあたっております。。。

印象前の写真です。マージンが綺麗に見ていると思います。インターオーラルスキャナーを使用するときも従来のシリコン印象でもこのマージンが歯茎に被っていると、綺麗な印象が取れず、正確な模型をつくることができません。

完成したセラミックオーバーレイです。咬合面1.0mm、近心壁は1.5mmの厚さでした。

装着前の口腔内写真です。マージンの適合をしっかり確認します。隣接面のコンタクトも調整、最終的な噛み合わせは装着後にしますが咬合面の高さも確認します。装着する前に行うと割れてしまう可能性があるからです。しかし、前もって高さを確認しないと大変なことになります。もし、装着してから高さが低かったことに気づいた場合、修正することができません。口腔内でセラミックを足すことができません。


ラバーダムを行い、光重合型レジンセメントで装着した後の写真です。修復物と歯質の境目がないのがお分かりになりますでしょうか。隙間なく装着できていますので、将来的に再び虫歯になる可能性も低いと考えられます。
修復部を適合よく製作して、正しい手順で装着する。。。当たり前のことですが、これが難しい。。。精度高い治療を提供するというのは、大変むずしいことなんです。ですから、当院ではお一人お一人の患者様に十分な時間を確保することを心がけております。したがって、だいたい1日4−5人ほどの患者様しか拝見することができません。ご理解のほど、何卒宜しくお願い致します。
補綴関係でお困りのことがありましたら、歯科石上医院に遠慮なくお問いあわせください。
夏のお盆休み、皆様いかがお過ごしでしょうか。
【参考文献】
Fracture resistance of endodontically treated molars restored with extensive composite resin restorations. Plotino G, Buono L, Grande NM, Lamorgese V, Somma F. J Prosthet Dent. 2008;99:225–232.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18319094/
Pacquet W, Delebarre C, Browet S, Gerdolle D. Therapeutic strategy for cracked teeth. Int J Esthet Dent. 2022 Sep 1;17(3):340-355.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36047890/
日付: 2026年8月12日 カテゴリ:セラミック治療, マイクロスコープ(顕微鏡), 医院ブログ, 審美歯科, 症例, 虫歯治療


































