明けましておめでとうございます。
1/12/2025に第28回 米国歯科大学院同窓会(JSAPD)35周年記念大会にて講演をしてきました。演題は「口腔内全体を考慮したインプラント治療計画」です。
約60年前にインプラント治療が世に紹介されてから、さまざまな長期的研究で良好な臨床成績が報告されています。私が所属していた南カリフォルニア大学補綴科のディレクターも歯科医療に革命を起こしたものにインプラント治療を挙げていました。そうです。ゲームチェンジャーです。歯を失ってしまった場合に入れ歯でなくインプラントを利用して本来の歯の様に噛めることができる様になりました。骨に結合したインプラント(オッセオインテグレーション)に補綴物(被せ物)を装着し使用します。
しかし、インプラントの成功率は100%ではありません。従って、リスク因子を評価し、長期的に機能できるか診断することが大切です。また、欠損部だけを診るのではなく、口腔内全体の状態、つまりそれぞれの歯の予後を考慮し、治療計画を立てることが必要です。単純に欠損部があるからインプラントを埋入していくのではなく、残っている歯が将来的にどうなるか予測してインプラントを戦略的に配置すれば、将来的に歯が抜歯になったとしても既に埋入されたインプラントを利用して効率よく再び歯を支えことができます。追加のインプラントがいらないわけです。
今回の公演では以上の様な内容で発表させていただきました。
上記のイメージの様にこんなに多数のインプラントは必要ありません。4−5本あれば10−12本のブリッジを支えることができます。もし、お口の状況を正しく診断し、インプラントを効率的に配置できていればこのようなことにならなかったでしょう。では、なぞそうなってしまったのか。それは、それぞれの歯の予後を評価しなかったからだと思います。
予後とは「病気の予想される経過と結果、および病気から回復する可能性の予測, Samet 2009」のことです。私たちは、治療を始める前に歯の状態を正確に評価し治療を方針を立てなければなりません。
当院には他院で治療しているが一向に終わらないと言って、セカンドオピニオンで来院される方がいらっしゃいます。共通して言えることは、歯の予後を評価しないため治療の繰り返しになってしまっていることです。予後を考慮し、治療方針を立てて処置を進めなければ、ゴールが見えません。ゴールがなければそこに辿り着けないのです。
今回の公演で
歯の状態を正確に評価。
治療方針を提案するときは、歯の予後を評価しそれぞれの処置のリスクや利益そしてコストを比較できる様にします。
歯科石上医院では歯の状態を評価し、やり直しのないように長期的に機能できる治療方針を提案できる様に心がけております。何かお困りのことがあれば、お気軽にご連絡ください。