こんにちは。表参道・青山にある歯科石上医院です。
皆様シルバーウィークはいかがお過ごしでしょうか。先日、私が主催しているPPPセミナー咬合・顎関節編も無事に終わり、受講生から大変好評で楽しい議論を行うことができました。

そのセミナーの中で、咬合論の発展の歴史から咬合器の話、現在の咬合の考え方など、文献を交えてたくさんの情報を共有させていただきました。咬合に関して、偏った情報ではなくフラットに満遍なく有益な情報を共有できたと思います。受講生からも大変勉強になったと感想をいただけました!次回のPPPセミナーは治療計画編ですね!こちらの方も、宜しくお願い致します。
講義の中で私が治療させて頂いたある患者様の話を紹介いたしました。その方はおよそ3年も噛み合わせの不調で悩まされていた方です。なぜ、私が治療できたかというと、寝ている時と座った時の噛み合わせに違いが出ていたことに気がつけたからです。
通常、噛み合わせを調整する時は寝ている状態で行うことが多いのですが、人によっては寝ている時と座った時の噛み合わせに違いがある場合があります。正直、みなさん多少変化があると思うのですが、それを許容できない方が少なからずいるということです。
この方は多数のクリニックにいき、最後は大学病院に通われましたが完治せず、『補綴』というキーワードで検索され当院を見つけられました。
実際の治療が始まり仮歯を装着しましたが、水平で咬合していた右上小臼歯#14の仮歯が座った状態では当たっていませんでした。そこを修正したところ、その日の夕食から以前とは比べ物にならないくらい食事がしやすくなったとのことでした。
機能的に問題ないことを確認後、最終補綴に移行しました。噛み合わせの記録の仕方も、パターンレジンというプラスチックの材料を用いて座位で行いました。通常、シリコン材料を行うことが多いと思いますが、シリコンは多少柔らかいので模型上でカタつくことがあります。したがって、一番正確に噛み合わせの記録をとるためには硬い材料を用いることです。
実は、カチカチ咬む位置も姿勢によって多少かわるという報告があります。今年パブリッシュされたRevillaのIn Vivo studyによると水平と座位および水平と45°で噛ませた状態でおよそ100μmの違いが有意に出たと報告があります。歯根膜がおよそ10μmの違いを識別できるとされています。したがって、口腔内で100μmの違いはかなり大きなエラーになることでしょう。
このご紹介させて頂いた方も水平位と座位での噛み合わせに違いがあり、およそ3年もの間、咬合の不調(患者様の主観)を患っていたことがわかりました。患者様のお困りになっていることや診査を慎重に行うことにより、その差異に気がつき改善させることができました![]()
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治療終了後に、患者様に治療効果のアンケートを取らせたいただき、1~10の10段階で評価させていただきました。患者様の評価では9.5となっており、以前噛めていた時と同じように今は噛めていると評価していただきました。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、すべてがすべて完治できるわけではありませんが、適切な診断のもと、当院では何ができるか相談させていただき、理解して頂いた上で治療に進みました。
今回は、水平位と座位でMIPに若干の違いがあり、長い間患っていた咬合の不調を治療することができたケースを紹介させていただきました。
以下、参考にした文献です。歯科医師の方も当院のブログを拝見する機会があるようなので、載せときます。この報告では、口腔内スキャナーの精度も研究しています。歯科治療のデジタル化が進む中で、皆様も聞いたことがあると思います。
従来の方法とはちがい、スキャンで型取りができるようになっております。従って、術者と患者様の両方が楽に処置を進めることができるようになりました。スキャンした情報もデータにできるので、保管も楽ですし、いつでも使用できます。しかし、スキャンしているからといって、従来の方法と比べて正確だというわけではありません。当院にいらっしゃる方もよく質問されます。この研究でも4社のスキャナーの精度を比較しております。結果は、スキャナーの製品の違いでおよぞ1ooμmの誤差が出ることがわかりました。スキャンするということは、写真を撮ることと同じです。従って、噛み合っている部分や影になっているところは映らないということです。。。つまり、術者が機械の特徴を理解し、どういうところでエラーが起こりうるか熟知していなければなりません。デジタルツールは魔法の機械でも何でもありません、使えばいいということでもありません。ただのツールです。アプローチの仕方が変わるだけです。紹介させて頂いた研究でも、『術者は適宜IOsのメインテナンスやキャリブレーションを行う必要があり、スキャン精度に影響を与える要素も理解している必要があった。』とコメントがありました。
私が米国に留学していた時のメンターがよく言っていたことを思い出します。
「技術やツールは日々変わっていくが、原理原則は常に一緒だ。ハードは変わるがソフトは変わらない』と。。。
皆様、シルバーウィークは楽しく過ごせましたでしょうか。私は明日からまた診療です。いつも通り、丁寧に着実に処置を進めてまいります!
石上
米国補綴専門医
歯科石上医院
【参考文献】
Discrepancies of maximal intercuspal position recorded by using four intraoral scanners at different dental chair positions: A clinical study.
