こんにちわ。表参道・青山にある歯科石上医院です。
今回の患者様ははぴったり合った被せ物を入れたいと来院されました。
デジタル機器(口腔内スキャナー)を使用してスキャンして制作されたようですが、これではせっかくの最新機器も使う意味がありません。
1年前に自由診療で製作した被せ物のようでしたが、検査の結果、クラウンには段差があり虫歯も疑われ、不適合修復物および虫歯の疑いと診断しました。
写真からもわかるように被せ物と歯の境界(マージン)が合っておらず、歯根が露出しているような状態です。根面の露出は虫歯になりやすいので、この場合、マージンは原則歯茎と同じ高さか0.3-0.5 mm程、歯茎よりやや縁下に設定します。
また、咬耗・摩耗により歯が低くなっているため、慎重にクラウンを除去し形態を整える必要があります。ある研究では最低3mm高さがあればセメントの維持力に影響しないと報告があります。噛む部分は最低1-1.5 mmの厚さが欲しいので、不必要な切削にならないように、歯質が最大限保存できるように削っていきます。
また、歯軋りが疑われましたので、材料にはジルコニアを選択しました。なぜなら、ジルコニアは相手の歯に優しいからです。臨床研究でも、ジルコニアクラウンと噛み合う歯が一番削れていないという結果になりました。それは、ジルコニアはセラミックの中で一番固く丈夫で、表面を滑沢に維持できるからです。従って、歯軋りが疑われる場合は2ケイ酸リチウム(e.max)などよりジルコニアが第一選択になります。よく、ジルコニアは硬いから相手の歯が削れてしまうなどと耳にしますが、それは大きな間違いです。
当院で製作したジルコニアクラウンの装着後の写真です。
マージンの位置も改善され、段差もなく適合もバッチリです。隙間もありません。
患者さんも喜んでいただけました。
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