こんにちは、表参道・青山の歯科石上医院です。
インプラントで支持されたクラウンデザインで考えていただきたいことは「インプラントからの形態(縁下)」と「歯肉から立ち上がる形態(縁上)」の2点です。Rungtanakiat 2023の研究でもあるようにインプラントからの形態も周囲骨の吸収に影響する重要な因子だと報告されています。また、歯肉からの立ち上がりは清掃性に影響するので大変重要です。例えば、Maló 2008の論文には45°を超えるようになってはいけないと報告があります。
上顎臼歯部のインプラント治療に時々見受けられるのが、カンチレバーの様な形態です。下顎の対合歯と理想的に咬合させようとするあまり、クラウンの形態が歯茎から真横に立ち上がってしまっています。この様に、上顎のアーチがかなり吸収してしまっている場合は、クロスバイトにするか咬合高径の挙上、または固定式ではなく義歯にするなどの対策が考えられます。もしくはGBRで骨増生するかです。
私の場合、まずクロスバイトにする事を考えます。たとえば、GBRを選択すると費用の追加と期間の延長がおこります。また、組織学的にしっかり骨に置き換わっているのか分からない所に埋入するという不安も少なからずあります。CT状で骨ができた様に見えても実際はどんな状態なのか分かりません。
しかし、ここで考えなければならないことはクロスバイトにした時に患者さんは機能的にも審美的にも満足できるのか、ということです。これには試すしかありません。デジタルで審美的に診断できても機能的なことは分かりません。では、どの様に試すのか。仮の部分義歯を最終的な補綴設計と同じ様にクロスバイトで制作するのです。もちろん義歯なので機能というよりは、その歯の位置が許容できるのかをチェックします。
左上のインプラント治療のケースです。欠損部歯槽堤から移行的に立ち上げるとFig.5の様になります。今回の場合はクロスバイトにはなりませんでしたが、反対側と比べると大分アーチが狭くなりますので、発音や笑った時のブッカルコリダーへの審美的影響も気になるところです。従って、補綴が入った時にトラブルにならない様にこの歯の位置が許容できるのか試す必要があります。Fig.6の様に、最終的な歯の位置を反映した仮義歯を製作して使用していただきます。
インプラントが骨に結合(オッセオインテグレーション)すると、位置を変えることはできません。従って、最終的な補綴物の位置や形態を的確に決定し、その治療計画に沿って慎重にインプラントを埋入していく必要があります。是非、補綴専門医に診査診断してもらい、的確なインプラント治療計画を考えてもらってください。
ご不明な点があればお問い合わせください。
歯科石上医院
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日付: 2024年6月13日 カテゴリ:インプラント, 医院ブログ, 噛み合わせ, 審美歯科