明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
さて、年が明けて嬉しいことがありましたのでご報告いたします。
昨年、知人の紹介で外人の方が当院に急患として来院されました。数日後にカナダに帰国されるということで応急処置を希望されていました。
拝見したところ、アマルガム修復された歯が破折しておりました。かなり強い知覚過敏症状はありましたが、歯髄炎(歯の神経の炎症)を疑う様な症状はありませんでした。アマルガムの溶出したイオンにより黒く変色していましたが、虫歯を疑う軟化象牙質(柔らかくなった歯質)はありませんでした。因みに、アマルガム修復された歯はしばしば破折することがあります。はっきりした原因はわかっておりませんが、例えば、修復時に水分を吸収して若干膨張するためと言われています。
以上の所見から歯の破折と診断しました。
応急処置に限らず歯科治療で重要なことは正しい診断をすることです。診断を間違えれば適切な治療方針も提案できません。
今回の場合、患者さんが帰国予定なことから積極的な治療は避けました。また、修復面はアマルガムが露出していたり水分の多い象牙質の部分が確認できます。破折部分は非機能咬頭でした(相手の歯と直接当たらない部分)。従って、修復材料自体に接着性があり強度の高いセメント(FujiⅨ:グラスアイオノマーセメント)で修復することにしました。この材料のもう一つの利点としては、色が周囲と若干違うため区別できることです。つまり、帰国後に担当医の方がその部分だけ簡単に除去することができます。(帰国後、主治医の方に一度診てもらう様にお伝えしました。)
修復後の写真です。唾液がつかないようにラバーダムをして装着しました。辺縁部分は段差がないかマイクロスコープにて確認済みです。知覚過敏症状はなくなり患者さんは大変満足されました。
そして、最近その知人の方からメールが来ました。
カナダの主治医が私の処置に感動されたとのことです。そして、再度治療はせず私が修復したままにするとのことでした。
正しい診断を下し適切な治療方針および修復材料の選択ができたとことを大変うれしく思います。
当院の一つのコンセプトとして大切にしていることは、「適切な診断」をすることです。繰り返しになりますが、診断が正しくないと誤った治療方針につながりかねません。結果として、症状は改善しませんし、治療のやり直し、治療期間の延長、追加の費用やセカンドオピニオンを求めていろいろな歯医者さんを回ることになるかもしれません。
以上の様なことにならないように、当院では十分な時間をかけ丁寧に診査・診断・治療をおこなっております。また、専門医で構成されたチーム診療を行なっておりますので、何かお困りのことがありましたら遠慮なくお問い合わせくださいませ。